【遠州七不思議】桜ヶ池のお櫃納め【えんしゅうななふしぎ】さくらがいけのおひつおさめ
所在地 | 御前崎市佐倉 |
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内容
昔、京都の比叡山に皇円阿闍梨上人(こうえんあじゃりしょうにん)がいた。
上人は、お釈迦さまが亡くなってから56億7千万年後に弥勒菩薩(みろくぼさつ)が現れ、この世を救うという記述を経本の中に見つけた。
ぜひ弥勒菩薩に会い、教えを受けたいと思った高僧は、人の寿命ではとても生きていられないので、この世の中で一番長生きである大蛇となって生きようと考えた。そこで、高僧は弟子たちに大蛇として住むのに良い池を探すように命じた。
弟子の一人である法然は、東へと旅をして遠江国へ入り、いろいろ尋ね歩いていた。ある夜、この国にある桜ヶ池へ行って様子を見て来いと、夢の中でお告げがあった。
桜ヶ池へ行ってみると、山の上にある大池で、東と北には断崖の山があった。ここなら気に召すであろうと思い、池のほとりで経を読んでから池の水を汲んで、比叡山へと帰った。
法然から報告を受けた上人は、早速と、桜ヶ池から汲んできた水を掌に受け経を読むと、瞬く間に恐ろしい大蛇となり、黒雲に包まれて東へと飛び去ってしまった。
それから十数年後、法然が弟子二人を連れて桜ヶ池を訪れた。もう一度、阿闍梨上人に会いたいと思った彼らは池のほとりで朗々と経を読んだ。すると上人が現れ、四人は昔話や仏の道についていろいろと語り合った。
別れのとき、法然は阿闍梨上人の今の姿を見せて欲しいと言った。上人がにっこりと頷くと、黒雲が集まり、池を覆った。その雲間から大蛇がうろこを光らせていた。
うろこに住む小虫が皮膚を食いちぎるので苦しいと上人が法然に話すと、法然は仏道の力でうろこを全て取り去ってしまったため、この時以来、桜ヶ池の大蛇にはうろこがなくなった。
阿闍梨上人の大蛇は56億7千万年を待つために、今も池の水底深くに住んでおり、毎年、秋分の日にその大蛇への食べ物として赤飯を入れたお櫃を池の底深くに沈めている。
沈めたお櫃が上がってくると、中の赤飯はすっかりなくなっているという。
※遠州七不思議は土地によっていろいろな話がある。この話の他に片葉の葦・京丸牡丹・三度栗・波の音・無間の鐘・夜泣き石などがある。
参考
『遠州七ふしぎの話』遠州伝説研究協会
『遠州七不思議』石野茂子
『遠州伝説集』遠州タイムス社
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