【遠州七不思議】京丸牡丹【えんしゅうななふしぎ】きょうまるぼたん
所在地 | 浜松市天竜区春野町気田(伝承地) |
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内容
昔、春野町気田から数十キロの山奥に京丸という村があり、そこに一人の若い旅人が迷い込んできた。彼は長い山道に疲れ果て、更に空腹だったため、まるで病人のようであった。
旅人が村の村長の家を訪ねると、彼の事情を聞いた村長は親切にいたわり、食と宿を与えた。また、村長には若く美しい娘がおり、彼女もまた旅人を優しくいたわった。
幾日か経つと、旅人は元のように元気になったが、旅人はこの村から出ようとはせず、村人と一緒に炭焼きや農耕の手伝いをしていた。そして、彼はいつの間にか村長の娘と恋仲になっていた。
旅人と娘が恋仲になっているのを村長は知り、困っていた。娘の恋を成就させたいと願う一方、村には他村の者を村人にすることや他村の者と結婚することを禁止する厳しい掟があった。村長は旅人に村の掟を話し、村から出て行って欲しいと頼むと、旅人は承知し、次の日の朝には若い二人の姿が村から消えていた。
それから数ヵ月後の夕暮れ、村長の家の裏に村を出たはずの若い二人がみすぼらしい姿で立っていた。二人はこの数ヶ月、いろいろな地を回ったが、どこにも安住の地を求めることができず、村に戻ってきてしまったのである。
しかし、村長は掟だからと言い、二人は再び家を出て行った。二人はその足で村の前の気田川に身を投げ、死んでしまった。
その後、命日になると行き場のない2人の魂が大きな牡丹となって気田川のふちを彩っている。
※遠州七不思議は土地によっていろいろな話がある。この話の他に片葉の葦・桜ヶ池のお櫃納め・三度栗・波の音・無間の鐘・夜泣き石などがある。
参考
『遠州七ふしぎの話』遠州伝説研究協会
『遠州七不思議』石野茂子
『遠州伝説集』遠州タイムス社
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