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【遠州七不思議】片葉の葦【えんしゅうななふしぎ】かたはのよし

所在地 浜松市南区頭陀寺町(伝承地)
内容

豊臣秀吉がまだ木下藤吉郎といった少年のころ、現在の頭陀寺町の松下嘉平次という武士のところへ下男として働いていた。藤吉郎の仕事は毎日草を刈って畑を耕すことであったが、将来、偉い武士になりたいと望む彼にとってこの仕事は嫌で仕方がなかった。

 

いつも、草を刈りに家の東にある雑草と葦に囲まれた小池のほとりへと出かけると、まずはゆっくりと鎌を研ぎ出した。そして、鎌を研ぎながら、あたりに落ちている松葉を拾い、それを手裏剣の代わりにして池で泳ぐメダカの目を狙って投げていた。
初めのうちは全くあたらなかったが、何日も繰り返しいるうちに三度に一度、そして二度に一度はメダカの目に刺さるようになった。

 

また、研いだ鎌を持つと、前に生えている葦の片側の葉のみを切り落とした。葉の付け根からのみ切り落とすことにより、戦いに出るときのために腕を磨いていた。

 

その後、秀吉が鎌を研いだ池は「鎌研ぎ池」と呼ばれるようになった。そして、この池に住むメダカは、松葉の手裏剣によって片目をつぶされたので、みんな片目になってしまい、片方の葉のみ切り落とされた葦は、片葉の葦となってしまった。

 

※遠州七不思議は土地によっていろいろな話がある。この話の他に京丸牡丹桜ヶ池のお櫃納め三度栗波の音無間の鐘夜泣き石などがある。

 

参考

『遠州七ふしぎの話』遠州伝説研究協会
『遠州七不思議』石野茂子
『遠州伝説集』遠州タイムス社
 

 

 

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