滝沢の放歌踊たきさわのほうかおどり
開催地 | 林慶寺(浜松市北区滝沢町) |
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時期 | 8月13日~15日 |
滝沢の放歌踊とは
毎年8月13~15日にわたって行われる盆行事で、前半は遠州大念仏、後半は放歌踊というように二部構成になっているのが特徴。夕刻に林慶寺境内で全村の先祖に回向※を行った後、初盆の家々へと向かい、前庭で大念仏と放歌踊が披露される。
滝沢の放歌踊は、愛知県新城(しんしろ)市大海(おおみ)に古くから伝わる「放下(ほうか)踊」が、山伝いに引佐町渋川や東久留女木(ひがしくるめき)を経て伝わってきたとされるが、滝沢では「放歌」の文字を用いている。
1957(昭和32)年12月には静岡県無形文化財に指定された。
※回向(えこう)/死者の成仏を願い、供養や法要を行うこと
放歌踊とは
鎌倉時代から室町時代にかけて放下※僧によって伝えられた念仏踊りで、三河(現:愛知県東部)を中心に盛んに行われていた。
当初は放下僧による個人芸であったが、江戸時代に辻放下※という遊芸が行なわれるようになると、諸人芸と変化していったとされる。
※放下/すべての執着を捨て去り無我の境地に入ること。仏教語としては「ほうげ」と読む。「放歌」も同意語として用いられる。僧侶の姿をして小歌を歌い、手品を見せ、楽器を演奏する者を放下僧といった
辻放下(つじほうか)/道ばたや寺社の境内などで奇術や曲芸を演じて見物人から銭をもらうこと
行事順序
林慶寺境内で回向を行った後、初盆の家々へ向かうが、必ずその家から数十メートル、または数百メートル離れた位置から道囃子(みちばやし)の演奏を始める。一行は頭先(かしらさき)と呼ばれる組の責任者2人が先導し、ひんどうろうという飾り提灯を持った頭(かしら)、幟(のぼり)、双盤(そうばん)、太鼓、笛、組名入の提灯(ちょうちん)を持ち回向の時は念仏を唱える供回り(ともまわり)など30人ほどが並ぶ。
一行はゆっくり歩きながら庭入りをし、庭をまわりながらそれぞれの位置へつくと大念仏が始まる。そして、大念仏が終わると休憩をはさんで放歌踊となる。
放歌踊は2人1組の踊り手が太鼓を中にして向かい合い、笛の音に合わせて左右に踏み出しては刀で太鼓を切るような所作をしながら踊る。演目には藤代踊り・浮舟踊り・お鷹の踊り・綾まき踊り・おつなの踊りなどがある。踊りがしばらく続くと、団扇を持ったひょっとこと扇子を持ったおかめが現れる。ひょっとこの持っている団扇は身の丈ほどもある大団扇で、表裏に「神」「仏」と一字ずつ大きく書かれている。ひょっとことおかめは所狭しと踊り回り、景気づけをして賑やかな雰囲気のうちに放歌踊は終了。すぐに道囃子が演奏されて、一行は庭を左回りに一巡し、来た道を戻って行く。ひょっとことおかめもその後ろをよろけながら追って庭を出て行く。
関連項目
参考
『指定文化財のしおり』(浜松市教育委員会)
『静岡県の民俗芸能と伝統音楽』(静岡新聞社)
『静岡県の無形民俗文化財』(静岡県教育委員会)
『井の国 棚田と伝承の里』(静岡新聞社)
『日本の民俗 静岡』(第一法規)
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