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舘山寺の隠れたスポット
浜松市の中でも景勝地のひとつとして知られている舘山寺エリア。
一望に広がる浜名湖を眺めたり、マリンスポーツを満喫したり、楽しみ方はいろいろありますが、舘山寺温泉街北端に位置する舘山に、「舘山遊歩道」があるのをご存知ですか?
海抜50mの小高い山を小一時間で周遊できるコースは、気軽なお散歩にもぴったり。
写真スポットとしてはもちろん、ご利益スポットなどもあるので、ぜひお出掛けください。
舘山寺
舘山遊歩道の拠点となる舘山寺は、810(弘仁元)年に弘法大師によって創建されたとされる寺で、春野町にある秋葉山秋葉寺の末寺です。
鎌倉時代に戦で焼かれてしまった際は源頼朝が再建。その後、徳川家康公から御朱印判物を賜りました。明治時代の廃仏毀釈で一時廃寺となったものの、1890(明治23年)に曹洞宗として再興されました。
【火祭り】
舘山寺では、毎年12月15日に僧侶と山伏による御祈祷「火祭り」が行われています。火災厄除、無病息災、五穀豊穣を祈願する行事で、修験者による儀式は、何百年の時空を超えた幻想的な趣です。終盤では、一般の方も火渡りを体験でき、火の上を渡った人は、風邪をひかなくなると言い伝えられています。
【明治の鐘】
舘山寺にある「明治の鐘」は、中国蘇州・寒山寺との友好提携記念の鐘。1905(明治38)年、当時の伊藤博文首相が、曹洞宗舘山寺と中国蘇州寒山寺に、友好のためにと、それぞれ同じ梵鐘を贈りました。その後、舘山寺の梵鐘は戦争の混乱で焼失したものの、寒山寺では大切に保管。これを縁に、2006(平成18)年、両寺が友好提携を結んだことをきっかけに、舘山寺温泉観光協会が仲介役となって、寒山寺の梵鐘を再鋳造したそうです。
縁結地蔵尊
舘山寺に隣接するお地蔵様。明治以来、「縁結びおじぞうさん」として信仰されています。絵馬が折重なるように釣る下げられていて、多くの人に慕われている様子がうかがえます。
舘山寺聖観音菩薩
遊歩道から少し階段を上ると、大観音がそびえています。この菩薩像は高さ16m。心中した若い男女の御霊を供養するだけでなく、「生きることの尊さ」を伝えたいと、地元の人たちが浄財を募って1937(昭和12)年に完成されたそうです。やさしい表情が印象的です。
展望台と富士見岩
遊歩道は海岸線沿いに続きます。中でも絶景なのがこの展望台からの眺め。高速道路の車や遊覧船まで一望。展望台の東側には富士見岩と名付けられた大岩もあり、そこからも浜名湖の美しさを満喫できます。
夕日に向かって「きがん岩」
遊歩道沿いにある「きがん岩」。赤々と輝く不思議な岩が印象的です。夕日に向かって、赤石に手のひらを当て、心から思いをお願いすると、願いが叶うといわれているそうです。
眼の御利益「穴大師」
810(弘仁元)年、弘法大師が舘山寺を開創した際に、この岩穴にこもって修行をしたとされる「穴大師」。中には弘法大師自作の石像がお祀りされています。無病息災、心願成就の御大師さまとして信仰を集め、特に眼に関する病にご利益があるとされているのは、こんな言い伝えがあるのです。
明治時代、舘山寺の門前に竹四朗というお百姓さんが住んでいました。その竹四朗が、伸びた草の葉で目を突いてしまい、日ごとに視力は衰えていきました。困った竹四朗は、毎朝穴大師にお参りを続けていると、ある日、手ぬぐいをくわえた鳶が竹四朗の頭上から手ぬぐいを落として飛び去ったのです。竹四朗は、それから毎日顔を洗うたびに、その手ぬぐいで目を丁寧にふいていると、驚くほど目が回復していきました。感謝した竹四朗は、手ぬぐいを家宝とし、いっそう仕事にも励んで、その後幸せに暮らしたそうです。
気軽に楽しめる
浜名湖を眺めながら、爽やかな風を感じながら周遊できる「舘山遊歩道」
小さな高台を巡る遊歩道なので、
ドライブ途中に、食事を楽しんだ後に、
気軽に立ち寄るスポットとしても最適です。
2011年12月投稿