牡蠣かき
牡蠣養殖の始まり
浜名湖での牡蠣養殖は1887(明治20)年、浜名湖に鉄橋をかける際に、橋脚の基礎部分に多くの蛇籠が組まれ、そこに捨てられた大小の石や蛇籠の間に天然の牡蠣が育ち、また幼い牡蠣が付着しているのを発見した西区舞阪町の田中万吉氏が幼牡蠣を育てることを思い立ったのが始まり。鉄橋に程近い一角に囲みをつくり、その中に牡蠣を置く地蒔(じまき)の方法で生産された牡蠣は、順調に成長していったので、次々と養蠣(ようれい)場を拡大し、明治から大正初期にかけて独占的な立場で牡蠣生産を行った。そして牡蠣養殖業者が次第に増加し、浜名湖は牡蠣の産地として知られるようになっていった。1926(大正15)年からは種牡蠣の貝殻を長さ2m位の針金につるして養殖する垂下式の養殖法が取り入れられ、生産量は飛躍的に増加した。種子牡蠣は大半を宮城県、千葉県産に依存していたが、1946(昭和21)年ごろから地元採苗を始め、昭和30年代に急増、最近では湖内で採苗した種子牡蠣の一部を他県に移出できる年もあるほどになった。
高品質な浜名湖の牡蠣
浜名湖の牡蠣養殖は、湖南部と湖北部の環境の違いを利用して、3回移植が行われている。
まず、夏の高水温と低酸素を避け、潮通しの良い湖南部で種苗、育成された牡蠣は10月に1回目の移植として植物プランクトンなどが多い湖北部に、翌年の5月に2回目の移植として潮通しの良い湖南部に、さらに10月に3回目の移植として湖北部に移植する。このように1年半かけて収穫される。
浜名湖の牡蠣の全国シェアは低いが、身が大きく、重量があることから高品質として知られ、浜名湖を代表する水産物となっている。
参考
『遠州の地場産業』(静岡県西部地域しんきん経済研究所)
『静岡県 農・林・水 産地ガイド』(関東農政局静岡統計情報事務所)
『水産の舞阪』(静岡県浜名郡舞阪町)
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