温室メロンおんしつめろん
温室メロンの歴史
メロンはアフリカ北部やインドが原産地と考えられている。日本には中国からマクワウリが伝わり、明治時代までは全盛期であったが、明治時代以降にイギリスから導入された何種類かのメロンが新宿御苑で温室栽培された。これが日本で初めての温室メロン。
静岡県内では1906(明治39)年頃に清水区三保でイギリス系の温室メロンが試作されている。中遠地方では1916(大正5)年に磐田市豊浜の青年4人が温床栽培を始め、きゅうり、トマト、なす等の育苗や半促成栽培を行なったのが起源とされている。1919(大正7)年に共同でガラス温室を建て、促成栽培に発展し、その温室の夏場利用としてメロン栽培が最適とされた。その後、多くの品種を試作した結果、1930(昭和5)年にアールスヘボリットが強健で甘味があり日持ちがいいことや、外観、果肉色が日本人好みということで定着していった。現在では温室メロンといえばアールスヘボリットを指すようになり、通称マスクメロンとして流通している。浜松市では1918(大正6)年ごろに芳川都盛で温室メロン栽培が始まり、昭和30年代以降、高収益性に支えられ、栽培面積が大幅に増加していった。
メロンの王様
メロン栽培は野菜や果物のなかで最も難しいといわれ、土選びや、かん水、温度管理等、経験と技術を必要とする。温室メロンとして育てられるアールスヘボリットの特性を保持するためには、揚げ底栽培で入念な水管理が行なわれ、1株から1果のみの収穫がされている。現在では温度、湿度、炭酸ガスなどを自動的に管理するコンピュータの導入が進められている。
静岡県産はむらがなく、香りがよく、皮近くまで食べられるのが特徴で最高級。
メロン全体では静岡県シェアは低いが、「メロンの王様」といわれる高級品の温室メロンでは全国一の収穫量を誇っている。県内では袋井が最大の産地となっており、浜松市でも栽培が盛ん。
参考
『遠州の地場産業』(静岡県西部地域しんきん経済研究所)
『明日も元気!はままつ農業』(浜松市役所)
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