甘藷かんしょ
甘藷栽培の始まり
甘藷(サツマイモ)は薩摩(鹿児島)から全国に広まったことから「サツマイモ」と呼ばれている。
日本へは1597(慶長2)年に宮古島に最初にやってきたとされ、本土には三浦按針(イギリス人ウイリアム・アダムス)が1615(元和元)年頃にもたらしたとされる。土地を選ばず、丈夫で日照りや病気にも強く、栽培が簡単であり保存も可能なことから全国に広がっていった。
静岡県には18世紀の半ばに導入され、戦争前後には食糧難を乗り切るために作付けが増加、その後、食糧事情の緩和とともに減少している。浜松市内でも古くから全域で栽培がされてきた。浜松市南部の遠州灘沿いでは、1955(昭和30)年ごろに新しい品種として「高系14号」という品種を導入した結果、収益が高まり、産地を形成していった。
遠州灘の甘藷
遠州灘の砂地地帯で良質な甘藷が生産されることから、浜松市西区篠原地区を中心に極早生玉ネギとの輪作体型に組み込まれての栽培が定着している。通常では9月から11月にかけて出荷されるが、浜松の甘藷は地温が高くなる砂地で栽培されることで7月から8月にかけて出荷される「早掘り甘藷」として有名。2月中旬に種芋の伏せ込みによって苗作りが行われ、4月に極早生玉ネギの後作として栽培されている。
現在では、浜松市農業バイオセンターがウイルスフリー苗を供給し、組織培養による優良苗や無病苗の育成を行っている。生産されている品種としては高系14号と同系統の「紅高系」が8割を占め、新品種の「ベニアズマ」が2割。サツマイモ商品開発研究会では新品種「はまこまち」を使った加工費開発を行っている。
甘藷は糖質や食物繊維、ビタミンB1、B2、C、Eなどのビタミン類、カルシウム、マグネシウム、カリウム、亜鉛などのミネラル類を含んでおり、優れた食品として見直されている。
参考
『遠州の地場産業』(静岡県西部地域しんきん経済研究所)
『静岡県 農・林・水 産地ガイド』(関東農政局静岡統計情報事務所)
『明日も元気!はままつ農業』(浜松市役所)
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