芋ほり長者いもほりちょうじゃ
所在地 | 浜松市中区鴨江町(伝承地) |
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内容
今は昔、奈良の都に一人の信心深い美女がいた。ある時、女は伊勢の大神宮でお参りをし、良い巡り合わせを祈願した。その夜、夢に大神宮様が現れた。大神宮様は、女に棉の小袋を渡し、「これを持って、東へ参れ」と告げた。女が目を覚ますと、なんと夢で渡された小袋を手にしていたのである。お告げの通り、女は一人東へと旅に出た。
数日後、遠江国を旅している時に困ったことが起きた。何もない野原で日が暮れてしまったのだ。しかし、運良く一軒の貧しい農家を見つけ、ここに泊まることとなった。
家には、山の芋を掘って生活をしている貧しい男が住んでいた。男は、貧しいながらも心の限り彼女をもてなした。女は男の親切を嬉しく思った。すっかり気を許した彼女は、大神宮様の小袋を男に見せると、不思議なことに男も同じものを持っていると言う。二人の袋を開いてみると、両方とも黄金の玉が入っており、二人は驚いた。
縁を感じた二人は夫婦となり、一生懸命に働くと何年もたたないうちに富み栄え、さらに10年、20年するとさらに豊かになっていった。はじめは芋ほりからはじめた二人の貧しい暮らしを知っている人たちは「芋ほり長者」と褒め称えた。
二人は、豊かになったのは神さまや仏さまのおかげと、感謝のしるしにお寺を建てて、観音さまをお祭りした。これが今の浜松市中区鴨江町にある鴨江の観音さまだといわれている。現在でも、二人が住んでいたとされる鴨江町一帯は、長者平(ちょうじゃびら)と地元の人に呼ばれている。
参考
『遠州の伝説集』(遠州タイムス社)
『遠州七ふしぎの話 第2集』(遠州伝説研究協会)
『浜松の伝説 上』(ひくまの出版)
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