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JR浜松駅から徒歩約5分で到着できる浜松市楽器博物館は、市が推進した「音楽の街づくり」の一環として、1992(平成4)年から開館準備がスタートし、1995(平成7)年にオープンしました。
「公立の楽器博物館としては、日本唯一」と紹介されることが多いですが、内容的に「世界一」といっても決して過言ではありません!言わずもがな、国産リードオルガンを開発し、国産ピアノ第一号を誕生させたのが浜松。この地自慢の楽器博物館の魅力を、改めてご紹介しましょう。
館内を巡るだけで世界旅行
館内(1FとBFフロア)を観ると、アジア、オセアニア、アフリカ、アメリカ、ヨーロッパ、そして日本と、世界各地の楽器がズラリと展示されています。中でもインドネシアの三大楽器が保管されていたり、韓国の楽器が一通り揃えられていたり、また電子楽器の展示コーナーを展示し始めたのも、この楽器博物館が世界初です。
現在、世界中の楽器約3000点所蔵のうち、約1000点が展示されているそうですが、これほど多彩に、かつ世界中の地域を公平に展示し、それぞれの民族の歴史を丁寧に紹介している楽器博物館は、今のところ世界中見渡しても他にはないようです。そして多くの博物館が、専門研究者を見学対象にするような敷居の高い施設が多いなか、この博物館は「子供から大人まで、一般の人たちが、これまで知らなかった音楽の世界と出逢い、楽しんでもらいたい」という想いがコンセプト。そのため、案内展示の文章がとても分かりやすい言葉で書かれているだけでなく、楽器ごとにいくつも映像で紹介されているので、初めて見る楽器もすぐに、どんな方法で演奏し、どんな音が出るのかを知ることができます。
気軽に聴ける生演奏
一日に数回、スタッフが解説と同時にさまざまな珍しい楽器をその場で演奏デモンストレーションしてくれるのもポイント。バッハやベートーヴェンなど、作曲家が生きていた時代に使用していたものと同タイプの楽器を使った生演奏を聴いていると、いつしか当時生きた人々の生活文化などを想像したくなるから不思議です。
ちょうど筆者が訪ねた日は、今から約100年前に考案された空気式自動演奏ピアノと、イタリアの楽器製作家であるクリストフォリの復元ピアノの演奏を解説とともに聴くことができました。この他、開館時間外にも、館内スペースでさまざまなサロンコンサートが随時企画開催されているので、興味のある方は要チェックです。
空気式自動演奏ピアノ | クリストフォリの復元ピアノ |
演奏体験、写真撮影もOK
館内は、楽器を観る・聴くだけでなく、自分で楽器を鳴らすことができる体験ルームも人気。ドラムやピアノ、ギターのほか、アフリカやインドネシア、モンゴルなどの珍しい楽器や面白い手造り楽器も設置されているので、楽器に興味を持つ子供達だけでなく、大人たちも夢中になって演奏を楽しむことができます。
また、一般の博物館では「写真撮影禁止」のステッカーを目にすることが多いですが、この博物館は嬉しいことに自由に写真撮影ができるので、お気に入りの楽器を記録して、その楽器が生演奏される機会を待つ、という新たな楽しみも生まれます。さらに、レストランが隣接しているので、ランチやティータイムに一度館外へ出ても、当日チケットを見せれば再入場ができるので、一日ゆっくり過ごすことができるのです。
知識&技術を兼ね備えた専門家
こちらの優しい笑顔で迎えてくださる方が、楽器博物館オープン当初から館長を務める嶋和彦さん。実は嶋館長ご自身、素晴らしいリコーダー演奏者で、全日本リコーダーコンクールアンサンブル部門最優秀賞をはじめ多くの賞を受賞し、海外公演も行うほどの腕前なのです。
嶋館長をはじめこの楽器博物館の講師たちは、楽器の知識と技術と愛情を兼ね備えた人たちで、楽器博物館のPRや音楽の啓発を目的に、市内の小学校に楽器を持ち込んで紹介する「移動楽器博物館」を積極的に行い、地域の人たちにとても喜ばれているそうです。
「世界一」と胸を張れる博物館
いかがですか。貴重な世界各国の楽器を、これほど身近に感じられ、スタッフの方から分かりやすく解説してもらいながら、しかもその場で生演奏も聴ける楽器博物館は本当に珍しいといえます。日々違った楽器を、さまざまな人がデモ演奏しているので、何度訪れても楽しめる博物館。これほどの充実度で、一般大人400円の入館料は「安いです!」。
お客様に浜松を案内する際には、「世界一と誇れる楽器博物館」と、胸を張って紹介してください。そして私たち自身も、浜松の素晴らしい宝物であるこの博物館を、日々の暮らしの中で存分に満喫しようではありませんか。
※浜松市楽器博物館の基本データはコチラ
(2011年8月取材にて作成)
関連項目
浜松自慢エッセイ-その②- 「餃子文化は浜松オリジナル」
浜松自慢エッセイ-その③- 「民俗芸能に浸る幸せ」
浜松自慢エッセイ-その④- 「浜松の山城に注目!」
浜松自慢エッセイ-その⑤- 「『30分間回泳』は浜松オリジナル!」