戻る

旧二俣線遠江二俣機関区きゅうふたまたせんとおとうみふたまたきかんく

郵便番号 431-3311
所在地 浜松市天竜区二俣町阿蔵230-2
旧二俣線遠江二俣機関区とは

天竜浜名湖鉄道の前身である国鉄二俣線は1940(昭和15)年6月1日に全線67.9kmが開通した。二俣線は貨客輸送というより国防上の理由でつくられ、実際に1945(昭和20)年7月の第二次世界大戦中に東海道本線が空襲を受けたときには迂回路としての役目を果たしている。
旧遠江二俣機関区も全線開通当時に建設された。機関区は、以前は機関庫と呼ばれており、列車運転の始点・終点や、その他の地理的条件を考慮し、主要な駅または操車場の構内に設けられた。機関庫の役割としては機関車の保守整備のほかに乗務員の配備などがあり、宿泊・休養施設も設置された。
戦後は赤字路線として廃線の対象となったが、静岡県及び沿線市町村出資の天竜浜名湖鉄道が設立され、1987(昭和62)年に国鉄から同社へと引き継がれた。路線や駅舎などといった鉄道の営業に必要な施設は国鉄より譲渡され、遠江二俣機関区もまた天竜二俣駅運転区と名前を変え、ほとんどの施設が引き継がれた。
旧機関区にある転車台1基、扇形(せんけい)車庫1棟と、事務室・浴場・休憩所の3棟の施設が1998(平成10)年に国登録有形文化財となっており、その多くは現役で活躍している。
なお、天竜浜名湖鉄道では旧機関区の転車台・鉄道歴史館見学ツアーを開催している。

 

転車台

転車台は蒸気機関車の時代、機関車の方向転換のために設けられた。また、貨車や客車も車輪の磨耗を平均化させるために転車台を利用して転向させることがあった。
二俣駅にある転車台は直径18.4mの鉄製で、中央部に門型の鉄柱が建てられており、360度回転可能。転車台の上に機関車を乗せ、台車ごと回転させる仕組みで、当初は手動で回転させていたが、現在では電動となっている。
二俣線では1971(昭和46)年まで蒸気機関車が走行しており、当時、遠江二俣機関区にはC58型の蒸気機関車が5両配置されていた。その後、電気機関車やディーゼル機関車の普及によって転車台が不要となり、多くが撤去されていったが、二俣駅では現在でも車両の振り分けなどに使用している。
なお、機関区の一般的なレイアウトとしては、転車台の周囲に扇形車庫が併設されており、旧遠江二俣機関区についてもそのようになっている。

 

扇形車庫

扇形車庫は転車台で回転させた蒸気機関車を格納するために扇形に造られている。蒸気機関車が全盛だった時代、転車台同様に扇形車庫も全国各地にあったが、蒸気機関車の衰退によって必要性が無くなり、現在、残っているものはわずか。
旧遠江二俣機関区に残る扇形車庫は木造であり、木造のものは国内でもここにしか残っていない。また、この車庫を建てるにあたり、地元天竜の木材が使用されている。
当初6両分の車庫であったが、両側の2両分が切り縮められ、残る4両分は現在でも主に車両の停留所として使用されている。
また、車庫の左横には鉄道資料を多数展示している鉄道歴史館がある。

 

その他施設(事務室・浴場・休憩所)

旧機関区事務室棟は木造平屋一部2階建てとなっており、5寸勾配の屋根は、建築当時からある部分は葺土の上に桟瓦※葺で、東側の増築された平屋部分はセメント瓦葺。外壁は全て杉板の縦張りとなっており、南北面には格子状の木製ガラス窓が多く並んでいる。
1階には運転司令室・乗務員詰所・更衣室・検診室・検修員詰所などがあり、2階には会議室が設けられている。内装は基本的に堅木板張りの床に漆喰(しっくい)塗りの壁、天井はテックス張りといったもの。
事務室棟の南側には浴場棟と休憩所棟が並んでおり、それぞれ渡り廊下で結ばれている。2棟とも木造平屋建ての桟瓦葺き。
休憩所棟には12畳の休憩室と湯沸所・青写真室・トイレなどが、浴場棟には浴場・脱衣室・洗濯所があり、浴場は4間×3.5間の大きさで中央に大浴槽が設けられている。
また、蒸気機関車への給水施設として使用されていた鉄筋コンクリート造の高架貯水槽や揚水機室が残っており、現在では洗車に使われている。

※桟瓦(さんかわら)/断面が波形をした瓦

 

転車台・鉄道歴史館見学ツアー

開催日:毎週金曜~月曜、祝日
開催時間:10:50~、13:45~(1回約45分)
入場料:大人100円、小学生以下50円
(駐車場を利用の場合は大人200円、小学生以下100円)
※団体の場合は要予約
詳細:天竜浜名湖鉄道WEBサイト

 

関連項目

浜名湖

 

参考

『昔に出会う景観紀行』(浜松観光コンベンションビューロー)
『静岡県のとっておき建築探訪』(静岡県都市住宅部営繕総室)
『三遠南信産業遺産』(春夏秋冬叢書)
『静岡県の近代化遺産』(静岡県教育委員会文化課)
『歴史を巡る近代化遺産ベストガイド 東海』(メイツ出版)
『静岡県のすごい産業遺産Ⅰ』(静岡県文化観光部文化政策課) 

 

 

浜松といえば
おすすめ記事

徳川家康 浜松まつり 浜松城 浜名湖 中田島砂丘 弁天島 湖北五山 うなぎ 浜松餃子 三ヶ日みかん  ドウマンガニ ガーベラ 楽器博物館

  

iPhone アプリ

地図編集アプリ 「はままっぷ」

 

edited by 浜松情報BOOK