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お姫様と大工の恋おひめさまとだいくのこい

所在地 浜松市北区細江町(伝承地)
内容

徳川時代の末頃、気賀の関所の関主でもあった殿様、近藤用随には美しい娘が一人いた。姫は殿様や奥方、家来や女中たちからもかわいがられて、大切に育てられていた。

 

その頃、御殿修繕のために孫兵衛という若い美男の大工が出入りをしていた。姫は孫兵衛の凛々しく男らしい姿に惹かれ、また、孫兵衛も美しい姫を嫌うわけはなく、二人の間に恋心が芽生えた。

 

しかし、二人の関係が殿中に広がり始めたため、二人は城から抜け出し、都田川から小舟に乗り、浜名湖へ向かって漕ぎ出した。
姫の失踪を知った城内は、孫兵衛が姫を連れ去ったと大騒ぎになり、すぐに追っ手が二人を探しに出た。そのため、二人の舟はすぐに見つかり、孫兵衛は牢屋へと入れられ、打ち首されることとなった。

 

姫は殿様に孫兵衛を許してほしいと願うが受け入れられなかった。せめてもと、姫の目の前ではなく、国境で打ち首にするよう殿様は家来の佐藤長太夫に命じた。

 

翌日、長太夫は孫兵衛を連れ、国境の引佐峠へと向かった。そこで長太夫は斬るふりをしながらも、孫兵衛に三ヶ日のほうへと逃げるように合図し、孫兵衛を逃がしてやった。
罪人を逃した罪で、長太夫は三ヶ月の閉門を言い渡されたが、心は晴れやかだった。

 

その後、姫は近藤家の菩提寺である宝林寺へかんざしを献じ、訓戒を受け、江戸の屋敷へと引き取られていった。
一方、孫兵衛は一度は三ヶ日の町へ逃げたが、その後、見付へ出て、舞台大工として一生を送った。

 

参考

『ふるさと再発見 遠州の民話』(静岡新聞社)
『続々・遠州伝説集』(遠州伝説研究協会)
 

 

 

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