椎ヶ脇渕の竜宮しいがわきふちのりゅうぐう
所在地 | 浜松市天竜区二俣町鹿島(伝承地) |
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内容
西鹿島にある椎ヶ脇渕の上の山には椎ヶ脇神社がある。
昔、椎ヶ脇神社の神主が、渕の上の断崖近くで芝を刈っていたとき、握っていた鉈(なた)を渕の中に落としてしまった。上から覗くと、鉈が渕の中に沈んでいるのがはっきりと見え、手が届きそうであった。手を伸ばして拾おうとしたところ、神主は渕の中に落ちてしまった。
しばらくして神主が目を開けると、そこは竜宮城であった。美しい乙姫が片手に神主の落とした鉈を持って現れ、自分は鉄ものが嫌いだからこれから鉄ものを渕に入れないこと、そして、椎ヶ脇渕に竜宮城があることを他言しないこと、それを守ってくれるなら何か入用なものがあれば、渕に来て言えばなんでも貸してあげると言った。神主はうれしさを感じつつ鉈を持って帰った。
数日後、この国の領主と四十余人の家来が神主の家へ泊まるということになった。しかし、そんなに多くの食器も寝具もなく、また、粗末な待遇はできないと困っていた。そこで神主は、椎ヶ脇渕に行き、上等のお膳とおわん、それとお布団を貸して欲しいと伝えた。数時間後、再び渕に行くと、渕の岸には頼んだものが並べてあり、それによって領主たちを十二分にもてなすことができた。
それから幾度となくお膳や重箱などを借りているうちに、神主はこのことを人々に自慢をしたくなった。
そこで、口では言ってはいけないとが、文字で書くのなら大丈夫だろうと思った神主は、親しい友人に紙に書いてそのことを伝えた。それから神主は椎ヶ脇渕から何も借りられなくなり、また、ものが言えず、文字を書くこともできなくなってしまった。
参考
『遠州七ふしぎの話』(遠州伝説研究協会)
『遠州伝説集』(遠州タイムス社)
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