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伊勢との深い結びつき…初生衣神社
毎年4月の第二土曜日、浜松市北区三ヶ日町にある初生衣(うぶぎぬ)神社では「おんぞ祭り」が行われています。この初生衣神社は、1154年から1885年まで皇太神宮(伊勢神宮の内宮)に、神御衣(かんみそ)とよばれる織物を納め続けてきた由緒ある神社。天棚機姫命(あまのたなばたひめのみこと)を祭神とし、古来から神服部一族が宮司を務めています。
実は明治の初めになり、神宮制度が変ったことから、機織りは伊勢神宮内部で行われることになったため、初生衣神社から神御衣を納める慣習は途絶えたのですが、100年後、神服部宮司が苦労の末、再生させ復活させました。
おんぞ祭り当日は、「おんぞ奉献」「皇大神宮神御衣」と書かれた旗を持ち、唐櫃を担いだ行列が初生衣神社を出発。浜名惣社神明宮へ向かい、社殿に納めていた神御衣を唐櫃に入れ、再び初生衣神社へ戻り、神御衣が織り上がったことを祝う神事が行われます。このおんぞ祭りが無事に終わると、翌月5月14日には愛知県豊橋市の湊町神明社に運ばれ「御衣祭」が行われ、その後伊勢神宮へ奉納されます。
初生衣神社内には織殿があり、中には800年前に使われていたものと全く同じ形の織機を見ることができます。神様に同じ物を作り納めることこそが大事と考えられていたため、織機も常に同じ形を伝承してきたからなのです。
この浜松市に、伊勢神宮とこれほど縁のある神社が存在していることの驚きと共に、次々に新しい物に作り変えられている現代、昔のままを維持して伝承するという発想が、とても斬新に感じられます。
2012年3月投稿