二俣の河童ふたまたのかっぱ
所在地 | 浜松市天竜区二俣町 |
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内容
昔、二俣川の油渕には恐ろしい河童がいると伝えられていた。
ある夏の日、村の子供の彦三郎が二俣川でひとり遊んでいた。すると、見たこともない男の子が遊ぼうと声をかけてきた。彦三郎が返事をしないでいると、男の子が鮎取りをしようと言ってきた。ちょうど鮎取りをしようと思っていたところだったので、一緒に二俣川に入って鮎取りをすることにした。
川の中には小さな鮎が群れをなして泳いでいるので、彦三郎は夢中になって追いかけ、次第に川下の油渕のほうへと行ってしまった。
すると、急に雲行きが怪しくなり、滝のような大雨が降り出すと、耳もさけるような大きな雷がした。彦三郎は気を失い、そのまま倒れてしまった。
しばらくすると、どこからか白い髪、白いひげ、白い着物を着たおじいさんが現れ、彦三郎に早く帰りなさいと呼びかけた。
彦三郎はその声に目を覚ますと、先ほどまでの大雨は止み、空には夕日が光っていた。
おじいさんは彦三郎を家まで送ると、森の方へと歩き消えてしまった。
日ごろから油渕へは行ってはいけないと言われていた彦三郎は、言ったら叱られると思い、誰にもこのことを話さなかった。
それから幾日か経ったある日、彦三郎と同じ年頃の子供が一人、油渕で死んだことを聞き、驚いて家の人にそのことを話した。
すると、家の人は油渕の河童が彦三郎を取り殺そうとしたのを、田中の森の諏訪明神さまが助けてくれたのだと、急いでお礼の参りに行った。
現在、油渕はなく、どこにあったのかも分からない。
参考
『遠州七ふしぎの話 第2集』(遠州伝説研究協会)
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