富士馬頭観音ふじばとうかんのん
所在地 | 浜松市天竜区西藤平(伝承地) |
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内容
上阿多古西来院「いぼとり観音」のおまつりの日には、近くにある十二所神社の広場に観音様を持ち出し、その前で、村人たちは草競馬を楽しんでいた。
ある年、この近くに住む豪農の自慢の馬、富士が下男の清作に連れられてやってきた。
毛並みが良く、去年も草競馬で一等を取ったというほど立派な馬だった。
しかし、日頃、薄暗い小屋の中ばかりにいた馬が、祭りの太鼓や、赤や青に飾られた屋台を見て、驚いてしまった。そして、突然大きくいななき、前足を高く上げ、身体をのけぞらせたかと思うと、道下の田んぼに落ちてしまった。
清作はびっくりし、田んぼに下りて馬を起こそうとしたが、打ち所が悪かったのか起こすことが出来なかった。
村の人たちも集まり手を尽くしたが、ついに死んでしまった。
そのことを主人に話すと、仕方がないと言ってはくれたが、責任を感じた長太夫は、石の馬頭観音を作り、馬の落ちた道ばたに立て、「富士馬頭観音」と刻んでその霊を慰めた。
参考
『ふるさと再発見 遠州の民話』(静岡新聞社)
『続々・遠州伝説集』(遠州伝説研究協会)
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