戻る

お弁地蔵おべんじぞう

所在地 浜松市西区雄踏町宇布見
内容

昔、宇布見の町に医師夫婦が住んでいた。

 

ある年、その医師の所に中年のお弁という女が雇われていた。お弁はまめに働き、気立てが優しく、十人なみの容姿を持っていた。医師夫婦もそんなお弁に特別目をかけていた。

 

しかし、お弁はなぜかいつもおどおどしており、外出するのや顔を見られることを嫌っていた。家の中の用事ならすぐに働くのに、お使いの用事となるとなかなか腰を上げない。

 

理由を聞いてもお弁は語らなかったが、彼女には秘密があった。

 

お弁は数年前に結婚したが、夫は酒癖が悪く、狂暴で手に負えなかった。そのため、離婚を切り出したが、受け入れられず、更に彼女に対する仕打ちがひどくなっていった。
そこで、いたたまれなくなったお弁はある夜にそっと家を抜け出し、50キロも離れた宇布見で暮らしているのだった。

 

しかし、夫が彼女を探しに出ているとうわさに聞き、いつ見つかるのか不安でならなかったが、それを医師夫婦に伝えれば、余計な心配をさせるだけだと思い、何も語らなかった。

 

そんなある年の秋の初め、お弁は主人の使いで大久保村まで行った帰り、夫と出くわしてしまう。お弁は急いで逃げたが、男の足にはかなわず、ついに追いつかれ、斬りつけられた。お弁は血を流しながら、宇布見村と志都呂村の小川にかかる橋までなおも逃げたが、ついに力尽きてしまう。

 

村人たちはお弁の冥福を祈り、息絶えた場所に地蔵を建てた。その地蔵はお弁地蔵と呼ばれるようになり、また、彼女が斬られ、逃げた道を血塚畷(ちづかなわて)と呼ぶようになった。

 

参考

『ふるさと再発見 遠州の民話』(静岡新聞社)
『遠州伝説集』(遠州タイムス社)
 

 

 

浜松といえば
おすすめ記事

徳川家康 浜松まつり 浜松城 浜名湖 中田島砂丘 弁天島 湖北五山 うなぎ 浜松餃子 三ヶ日みかん  ドウマンガニ ガーベラ 楽器博物館

  

iPhone アプリ

地図編集アプリ 「はままっぷ」

 

edited by 浜松情報BOOK