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馬鈴薯ばれいしょ

馬鈴薯栽培の始まり
馬鈴薯(ジャガイモ)は慶長年間にジャワから、寛政年間にロシアから、さらに明治に入ってからアメリカやアイルランドから日本に入ってきた。大正時代初期に浜松市の三方原台地と湖西市の白須賀台地で開墾とともに導入された馬鈴薯は、戦後、軍用地の払い下げや開拓民の移住による開墾とともに作付けが増加した。1945(昭和20)年頃までは個人出荷だったが、1953(昭和28)年からは三方原、伊佐見、和地、花川の農家が農協による共同販売が開始され、「三方原馬鈴薯」の基礎が作られた。1981(昭和56)年には浜名地域の3市3町が三方原として国から野菜指定産地の認定を受けている。

 

浜松の馬鈴薯
2006(平成18)年の馬鈴薯産出額は北海道、鹿児島、長崎、茨城、千葉、青森に次いで静岡は7位となっており、なかでも浜松市(8870トン)と湖西市(1690トン)が栽培の中心で県内の6割を生産している。
世界中に2000種ほどの品種がある馬鈴薯だが、日本で主に栽培されているのは、男爵、メークイン、北アカリ、トヨシロ、インカのめざめ、デジマ、ラセットバーパンク、シンシアなどの約20種で、三方原馬鈴薯は85%が男爵。三方原の粘土質で酸性土壌の赤土と豊富な日照量によって育った馬鈴薯は肌がきれいでデンプン価が高く、甘みやホクホク感があるので市場で高品質との評価を得ている。また、有機肥料の投入による土壌改良など、先人の努力と共販による品質管理の徹底が産地を支えている。2008(平成20)年には浜松市中区花川町に馬鈴薯選果場が完成し、馬鈴薯に光センサーを当ててデンプン価が12.5%以下のものや中が空洞になったものは自動選別されるようになり、美味しいものだけが出荷できるようになった。静岡県の馬鈴薯は3月から7月の価格の高い時期に出荷されるのが特徴。

 

馬鈴薯について
馬鈴薯の主成分はデンプンを主とした炭水化物で、他にはタンパク質や脂肪などを含むが、脂肪が他の芋に比べて少なくカロリーも低い。フランス語で台地のリンゴといわれるほどビタミンC、B1、B6などを豊富に含み、また、利尿作用があり、血圧の上昇を防ぐカリウムや鉄なども含む。また、穀類と違いアルカリ性食品のため、偏食の害も少ない。栄養面から見ても、肉や魚、乳製品などのつけあわせに最適。
デンプンが多くホクホクした男爵は煮崩れしやすいのでこふき芋、マッシュドポテト、コロッケなどつぶしてから使う料理にいい。ねっとりして煮崩れしにくいのがメークインで煮料理などに向いている。茹でるときや蒸すときは皮付きのままで茹であげるのがホクホクとして水っぽくならず、ビタミンCの損失も少ない。水から茹でていると、温度がゆっくりとあがるので表面と中の温度差が少なくなり、旨みもホクホク感も増す。ゆでたものを冷凍すると中の水分が凍って解凍したときにスカスカになってしまうが、マッシュポテトにして繊維を壊しておくと冷凍保存が可能。カレーやシチューを冷凍するときも同じで馬鈴薯だけ潰しておくといい。
購入する際は、ふっくらと丸みがあって皮にキズがないものを選び、有害成分が生成されている場合もあるので、芽が出ていたり変色していたりするものは避ける。男爵の場合は、中くらいの形が揃った球形でずっしり重みのあるものがよい。完熟すると皮の表面に網目がかかる。大き過ぎるものは中心が空洞だったり水っぽかったりするので注意。光に当たると有毒物質が生成されるので直射日光や明るいところを避けて保管をする。収穫後約3ヶ月は芽を出さない性質があるので、この間は7~15度の常温保存が可能。風通しの良い冷暗所で新聞紙に包んでかごやネットに入れて保存する。リンゴを一緒に入れるとリンゴから出るエチレンガスの作用で馬鈴薯の萌芽を防止できる。

 

参考

 『遠州の地場産業』(静岡県西部地域しんきん経済研究所)
『静岡県 農・林・水 産地ガイド』(関東農政局静岡統計情報事務所)
『明日も元気!はままつ農業』(浜松市役所)
浜松市農政課ヒアリング

 

 

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