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鈴木道雄すずきみちお

誕生地 現:南区鼠野町
生年 1887(明治20)年
没年 1982(昭和57)年
鈴木道雄とは

鈴木道雄は、現:スズキ株式会社の創業者であり、織機関連の発明から、四輪自動車開発を提案し実現させた。

 

生涯

1887(明治20)年2月18日農家32戸の典型的な農村、浜名郡芳川村鼠野(現:南区鼠野町)に農家の次男として誕生。菅原道真の字をとって「道雄」と名づけられた。
7~8歳になった頃から両親の手伝いで綿摘みをし、機織の音を聞きながら育った。
生まれつき器用だった道雄は14歳のとき請負師(建築家と大工の両方を備えた大工の棟梁)になろうと決心し、大工である今村幸太郎の下に7年間の契約で弟子入り。厳しい今村親方の下で修業に専念した。
道雄17歳のとき日露戦争が勃発。建築の仕事がほとんど無い中、師である今村は足踏織機の製作に転向したことから道雄も織機製作の知識と技術を習得することになる。1902(明治35)年浜松電燈株式会社が設立され、以後電力が安定して供給されるようになった時代だった。

 

1908(明治41)年修業を終えた21歳の道雄は、当時足踏織機の需要が高まっていることに着目し自ら織機を製作。浜名郡天神町村字上中島上新田に借り受けた土地に生家から貰い受けた二階建ての蚕室を移築し工場として改築、ここを拠点に事業を開始。身長が徴兵検査の規定に満たなかったことから第二次補充兵に編入されたことも幸いして事業に専念。3~4日を費やして一台の木鉄混成の足踏織機第一号を完成させ、実母マチに贈った。

するとこれまで使用していた織機の10倍の効率になったことから評判となり注文が殺到。

自信を得た道雄は1909(明治42)年10月、スズキ株式会社の前身・鈴木式織機製作所を設立した。
織布業者との会話を通して縞模様を織る機械のニーズが高いことを認識し、1911(明治44)年先染横縞柄模様を織ることができる二挺杼足踏織機(にちょうひあしぶみしょっき)を完成。
自動で横糸交換ができ格子柄を自由に織ることができる杼箱上下器(ひばこじょうげき)を開発し翌年実用新案を取得した。杼箱上下器は残念ながら現存するものがなく、保管されていた実用新案の登録書類を分析し、浜松市博物館所蔵の織機を参考に復元製作された足踏織機が現在スズキ歴史館に展示されている。
さらに1912(明治45)年経糸送出調節装置を開発し、翌年自身初の特許を取得。
広巾需要が高まった1916(大正5)年、道雄の製作した一挺杼力織機と木鉄混製四挺杼力織機が栃木県足利市で開催された繊維共進会で共に一位を獲得。1920(大正9)年鈴木式織機製作所は鈴木式織機株式会社へ改組し、1923(大正12)年道雄の開発した織機における捲取自動調節装置が特許を取得した。
1926(大正15)年遠州の企業として最初の労働争議に対応し苦労するが、その後の広巾織機の好調により成長。1930(昭和5)年に発明した鈴木式織機の集大成ともいえるサロン織機はカード節約装置が搭載され、複雑な格子柄を織るときに膨大なカードを節約できる画期的なもので東南アジア各地へ輸出され、世界にスズキの名を広めた。
1932(昭和7)年には中耳経糸開口装置を開発し同年実用新案登録。従来のものより広巾織物が作られるようになりサロン織りの生産性が飛躍的に拡大した。しかし1933(昭和8)年国際連盟から満州からの日本軍撤退勧告案が可決されたことを受けて日本は同連盟を脱退。国際情勢でサロン輸出は急速に減少していった。

 

二輪・四輪

戦後は、鈴木俊三(二代目社長)が発案した自転車補助エンジンの製作に同意し、パワーフリー号、ダイヤモンドフリー号、コレダ号とオートバイ製造を進め、人気を博した。

 

自動車開発にも取り組み、1936(昭和11)年試作車を完成させたが、戦争のため研究は断念。
戦後すぐに再挑戦し、ついに1954(昭和29)年試作車を完成させ、同年鈴木自動車工業株式会社に社名変更し、その翌年1955(昭和30)年に軽四輪「スズライト」を発表した。
 

 

1982(昭和57)年に逝去した。
その後、会社は1990(平成2)年スズキ株式会社と改称された。

 

 

人となり

自作の織機に対するお客様の評価や要望を丹念に聞いてまわり、その都度改良を加えていった。
「常にお客様の側に立って発想する。お客様が欲しがっているものならどんなことをしてでも応えろ。がんばればできるものだ」。
サロン織機を支えたのは織機20台以下の中小業者。設備投資資金が乏しいにもかかわらず、広巾サロン織機を購入できたのは、道雄が「設備資金の乏しい業者へサロン織機を提供したい」と当時では珍しい月賦方式で販売したため。
自動車開発の際には社内から反対の声が上がる中、道雄は「どう考えてもやはりやらなきゃいかん。金も人も無い時にやってこそ価値がある」と伝え社員を鼓舞し開発にこぎつけた。 

 

 

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